映画:兵隊やくざ 脱獄
兵隊やくざ 脱獄
Hoodlum Soldier's Escape
監督:森一生
出演:勝新太郎 (大宮二等兵)
田村高廣 (有田上等兵)
小川真由美 (珠子)
1966年 日本・大映
映画「兵隊やくざ 脱獄」は「兵隊やくざ」シリーズの四作目。
今回もまた、前作「新・兵隊やくざ」のラスト直後から始まるという(とっても判りやすい (^ァ^) )造りです。
珠子 「ねぇ、アタシと一緒に行って! ね?」
大宮 「そうはいかねぇ。 上等兵殿が」
珠子 「大宮ちゃん! アタシより有田さんの方が好きなの?」
※ 前作のラストでサイドカーを奪取し、陸軍の基地から逃げ出した大宮と有田。
やがて悪路に往く手を阻まれ、追っ手に捕まってしまいます。
あっさり収監される二人。
大宮は、先に陸軍の留置場に入っていた田中邦衛から、獄中での心得(どんな理不尽にも絶対服従 (>_<) )を説いて聞かされます。
コソ泥で捕まったと語る田中邦衛。
どうやら(大宮と同様)裏家業の男であったようで、実は陰でコッソリと・・・・
(ここからしばらくの間は、陸軍の留置場内でのクラーイ場面が続きます)
このままゆくと銃殺は免れ得ない二人。
大宮の機転と腕っ節で看守のスキを付き、脱獄を試みるも、やがて捕まって(またしても orz )しまいます。
これによって銃殺コースはさらに確定に。orz
しかし、ここで有田は大学時代の旧友(中谷一郎)と想わぬ再会を遂げます。
この男がなかなかのヤリ手で、今では出世コースに乗っている模様。
有田(お情けで大宮も一緒に w )は、法務官となっていた中谷一郎の計らいで逮捕の身を解かれ(その替わりに)関東軍の基地へと転属されることとなります。
そこは、中ソの国境地帯でした。
時に1945年。 ソ連軍の参戦が懸念され、緊張の高まる中・・・・
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この「兵隊やくざ」シリーズ。
戦争映画ながら、戦闘シーンよりもむしろ、徹底してシゴかれ/イジメられる兵卒の姿を描きぬいているのが特徴です。
(基地の内にこもってばかりいて、自軍の兵卒を相手に威張ることに一所懸命で。 ホント、こんなんで戦争に勝てるわけないよ。(>_<) って戦後世代の者から見ても、そう想わされます)
しかし、そんな軍隊の内での理不尽な扱いに敢然と抵抗する主人公の二人(大宮・有田)!
この映画の封切り当時の観客には、まだまだ軍隊経験者/大陸からの引き揚げ者が多かったと想われます。
そんな人々が、大宮・有田の反骨ぶりに快哉を送ったのは想像に難くないですね。(笑)
さて、関東軍の基地には(あの後、釈放された)田中邦衛も配属されていました。(@_@)
彼は貴重な玉石(翡翠)を隠し持っている様子。
どうやら兵卒として軍務をこなす傍ら、コッソリと(いろんな手を駆使して w )こつこつ集めていたようです。 しかし、大切なその翡翠が、悪辣な上官に見付かってしまい・・・・
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この映画。 ここまでのところは「兵隊やくざ」シリーズ中としても、イマイチな出来と感じていました。
監獄のシーン(結構長く感じた)は暗いし。 なにしろ、お話しも単調です。
この四作目って、シリーズ中でもイマイチな出来なのかなァ、と。(>_<)
それが、田中邦衛が退場する中盤以降からは、俄然(見違えるように)動き始めましたね。(@_@)
ここから恕等の展開を見せます。 ホント、驚きました!
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さて、田中邦衛退場の次に控えているのが、大宮・有田が「花月」(軍人相手の料亭)で働く珠子の部屋を訪れて、田中邦衛をしのぶシーン。
私はこの場面が好きで好きで。 DVDを何度も巻き戻して w 繰り返し鑑賞しちゃいましたよ。
ここで見せる勝新太郎・田村高廣・小川真由美。 三人の名優による演技のアンサンブルがとっても素晴らしいんです。
目前に破滅の迫った、極限状況の中で交わす友愛。
イイ男(二人)にイイ女。
大宮(勝新太郎)のカワイさ、有田(田村高廣)の優しさ、珠子(小川真由美)の気風。
多くは語らず、情に厚く。
それに加えて、モノクロの映像の艶っぽさと来たら、これがもう・・・・溜まらんです。(^ァ^)
大好きなシーンです。
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そんな折りも折りの 1945年(昭和20年)8月9日未明。
前触れも無く、突如ソ連軍が攻め込んで来ました。
当事の日本軍では、物量で勝るソ連軍に勝てるわけがありません。
大慌てで逃げ出そうとする悪徳上官と鉢合わせし、乱闘に巻き込まれる大宮・有田・珠子。
ここで、あの人が想わぬ行動に・・・・(?)
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この地には多くの日本人(民間人)が入植して来ていました。
すぐにソ連軍が来るぞ。 皆、急いで逃げなければ!
しかし、この期に及んで我先に逃げ出そうと(民間人を捨て置いて)トラックを独占したのは関東軍の指揮官たちでした。(>_<)
それへと怒りを爆発させる大宮・有田!
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この映画の半ばで「今回はハズレかも?」なんて考えた自分が恥ずかしいです。^_^;
この映画(先にも書きましたように)封切り当事に鑑賞した人々の中には、軍隊経験のある方はもとより、中国大陸から内地への引き上げを経験した方も少なくなかったかと想います。
そういった当時の観衆の想い、いかばかりだったでしょう?
戦後世代の私が見てさえ、溜まらんものがありました。
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